平成29年報恩講のご案内


今年も報恩講の季節が巡ってきました。報恩講は宗祖親鸞聖人の御恩への感謝の気持ちから勤められる法要です。でもこう聞くと「別に親鸞聖人から御恩なんて受けてないけど?」と思われる方があるかもしれません。
私たちが恩義を覚えるのは、その人や物が今の自分を支えてくれている、助けてくれている、役に立っていると実感できる時です。親鸞聖人の御恩とは偏に南無阿弥陀仏のみ教えを私たちに示し、勧めてくださったことに尽きますから、聖人に別段恩義を感じないということはつまり、南無阿弥陀仏なんて自分の毎日には関係ないと思われているということでしょう。
確かに念仏してもお腹が一杯になったりお金が貯まることはありませんし、病気や災いから逃れられる訳でもありません。効果が目に見えないものや即効性のないものは無用と切り捨てられる現代社会で、お念仏もそういう類のものと思われているのかもしれません。
でも、後で振り返って気づく恩ってないですか?例えば若い頃は反発しか覚えなかった親の厳しい言葉が、その時の親と同じような歳立場になってみて、厳しさ込められていた願いに気づき、大切な思い出に変わるというような。
南無阿弥陀仏もこれに似ています。親鸞聖人は阿弥陀如来は私が関係ないと思っていても、ずっと休むことなく私に寄り添いはたらきかけ続けてくださっていると仰います。幸運にもそのはたらきに気づくことができたなら、私たちはその時初めてこれまでのご恩を感じることができるのです。
報恩講の「報」の字には知らせるという意味もあります。恩に報いるにはまず恩を知ることから。聖人がお勧めくださった南無阿弥陀仏とは一体何なのか、私の毎日にどう関係するのか。そのはたらきを改めて聞かせていただくことこそがこの法要の意味です。どうか一人でも多くの方に御恩を感じてもらえますよう、有縁の方々お誘い合わせの上、お参りください。
【法要日時】
10/28(土)14:00、19:00
10/29(日)7:00、10:00、13:30
【ご講師】
高務哲量(たかつかさてつりょう)師
(福井市千福寺住職/本願寺派布教使)
※お経本には一昨年の宗祖大遠忌・住職継職法要の記念冊子を使います。お持ちの方はご持参ください。
ない方にはお貸しします。

【高務哲量(たかつかさてつりょう)師】昭和27年鹿児島県生まれ。慶応義塾大学卒業後、大阪高槻市の行信教校(ぎょうしんきょうこう)で浄土真宗を学ぶ。昭和55年福井千福寺に入寺。現在千福寺住職・本願寺派布教使。