お寺でのお葬式

先日、寿命寺の本堂で門徒さんのお通夜・お葬式を行いました。私が寿命寺に入寺した時の総代長(責任役員)だった方で、いつもお寺や私、そして家族のことを気にかけてくださっていました。そういうお方でしたので、息子さんが「ぜひお寺の本堂で送りたい」と、お寺での通夜葬儀を申し込んでくださいました。この2年ほど、ご門徒の皆さんに寺報などで「慣れ親しんだお寺の本堂で、お葬式をしませんか?」と呼びかけてきましたが、今回それに初めて応えていただきました。

思い起こせば入寺したての頃、ここ雄琴では随分前に途絶えてしまったと思われる家庭での報恩講の実施を呼びかけました。しかし反応は薄く、応えていただいたのは数軒。それも殆どが一回きりで途絶えてしまいました。でもこの元総代さんは、毎年ご夫婦で報恩講を開き、数年前施設に入るまで続けてくださいました。その頃はもう総代を退いておられましたが、それでもずっと見てくださっていて、応援してくださっているんだと感じ、嬉しく思っていました。

今回のお寺葬も、私には元総代さんが亡くなっても尚、私やお寺のことを案じてくださっていて、その想いが息子さんに伝わり、今回初めてのお寺葬をさせていただくことになったのだと、深く感じ入りました。

ところでお寺での葬儀は昔から行われてきました。ただ、ここ数年来呼びかけているのは、葬儀会社の組む祭壇前で行うのではなく、お寺の内陣の荘厳を活かした葬儀です。生前慣れ親しんだ本堂の阿弥陀如来を中心とすることで、故人が参られた、そして私達も何れ参らせていただくお浄土に想いを馳せる法要とすることに心を砕いています。

今回始めての実施でしたので、やってみて色々と課題にも気付かされ、喪主家や関係の方々にはご迷惑をかけたかもしれませんが、大方は恙無く執り行うことができ、いいお葬式ができたのではないかと自負しています。

今回のお寺葬を見て、こういう形ならお寺でのお葬式もありだな、と感じてくださった方もあると思います。興味を持たれた方は気軽に住職までお声がけください。今具体的なことがなくても構いません。事前にイメージを共有しておくことで、より思いに近い葬儀ができるはずです。なんなりとご相談ください。