10/27(土)〜28(日)、報恩講をお勤めします。報恩講は真宗門徒とって宗祖・親鸞聖人のご遺徳を偲ぶ一年で最も大切な法要です。遺徳とは「後世にのこる恩徳」と辞書にあります。つまり報恩講は親鸞聖人の恩徳に報いるべく勤める法要ということです。でも親鸞聖人は鎌倉時代の方です。自分の直接のご先祖様ならいざ知らず、そんな昔の人の恩徳なんて、よく分からないと言う方もいるでしょう。
ところでこの「報恩講」という名前は、親鸞聖人のひ孫で本願寺第三代の覚如上人が、聖人の三十三回忌にそのお徳を讃えて著した「報恩講私記」に由来しますが、覚如上人はこの制作の際、親鸞聖人の恩師・法然聖人を讃えた「知恩講私記」という書物を参考にされたそうです。
知恩と報恩。『宝積経(ほうしゃくきょう)』という経典には「知恩報恩の者、人中の珍宝となす」「知恩報恩は、これ菩薩行」と、これらが一連の言葉として出てきます。恩に報いるにはまず恩を知らねばならない。当たり前のようですが、これを珍宝、菩薩行と讃えるのはつまり、日々無数の恩を受けながらそうとも知らず、従ってそれに報いることもなく平気な顔をして生きているのが私達の姿だということを示しているのでしょう。
そういえば数年前の報恩講で講師の日下賢裕師が「報の字には『知らせる』という意味もある」とお話くださいました。この意味から言えば、報恩講とは親鸞聖人の恩徳を知らされる法要でもあるということです。
聖人の恩徳とは偏に南無阿弥陀仏のみ教えを私たちに示し勧めてくださったことに尽きますから、結局のところ報恩講とは、南無阿弥陀仏とは何なのか、それが私の毎日にどう関係するのか、そのはたらきを改めて聞かせていただく法要ということになりましょう。
親鸞聖人の恩なんて知らない。南無阿弥陀仏なんて私の生活に関係ない。そう思っておられる方にこそ、お参りいただきたい法要です。たくさんのご参拝、心よりお待ちしています。
【日時】
10/27(土) 昼14:00・夜19:00
10/28(日) 早朝7:00・朝10:00・昼13:30
【講師】
浅野執持 師(本願寺派布教使/愛媛県今治市・万福寺副住職)
今回のご講師は瀬戸内海の大三島からお迎えします。1971年生まれの47歳です。2012年には『絵ものがたり 正信偈 ひかりになった、王子さま』という絵本を企画・出版されました。正信偈を平易な語り言葉に訳し、そこに美しいイラストを添えた絵本です。 絵本の世界観そのままに、易しいながらも宗教的奥行きを湛えたお話が聴けることでしょう。